「きもち」(谷川俊太郎/文 長新太/絵 福音館書店 2008)
ほとんど字のない絵本です。男の子が公園で、友だちのおもちゃの車を奪ってしまいます。お母さんと帰る途中、捨てネコをみつけますが、お母さんはかまいません。お医者さんにいき、注射されて、男の子は泣きだします。家では、お父さんとお母さんが口論し、男の子は悪夢をみますが、お父さんとお母さんが枕元にきてくれて、男の子は安心します──。
後半、いままでの場面を解説するように、わずかに文章があらわれます。
〈いろんな きもちが
うまれては きえ
きえては うまれる。
(…)
こどもも おとなも
きもちは おんなじ。
でも じぶんのきもちと
ひとのきもちは ちがう。
ひとが どんなきもちか
かんがえてみよう。〉
絵だけで、登場人物の気持ちをさとらせる描きかたがみごとです。場面が変わると、気持ちもどんどん変わっていき、読んでいてそのことがわかるので、飽きることがありません。何度でも読み返せる出色の一冊です。物語と直接関係はありませんが、長新太さんの描くネコは、なんだか面白い顔をしています。小学校低学年向き。
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