「海浜物語」(やしまたろう/作 白泉社 1983)
日本の南のはしの島に、都会の物音がまったく届かない海浜がありました。ある日、近くの町のバレエ学校の子どもたちが、その砂丘にやってきました。浜辺の静けさは、子どもたちに浦島太郎の話を思いださせました。「あれは、ここでおこったのかもね」と、ひとりがいうと、「カメだってくるしねえ」と、別の子がいいました。
八島太郎は「からすたろう」の作者。おそらく、パステルをつかってえがかれた絵は、大変深みがあります。この絵本は、枠物語になっており、このあと浦島太郎の話が語られます。そして最後、再び子どもたちにもどり、物語に納得のいかない一番小さい子が、「きれいな箱からは、なにかもっといいものがでてこなくちゃ」とつぶやいて終わります。複雑な味わいのある、品のある一冊です。小学校低学年向き。
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