「へんてこりんなサムとねこ」(エヴァリン・ネス/作 猪熊葉子/訳 佑学社 1981)
ある島に、小さな女の子がすんでいました。女の子はサマンサといいましたが、いつもサムと呼ばれていました。サムは、やたらにうそをつくくせがありました。死んだお母さんのことを人魚だといいますし、家には年寄りネコのバングスしかいないのに、ライオンと赤ちゃんカンガルーがいるといいましたし、戸口に置いてあるぼろぼろの足ふきマットを、竜の引っ張る戦車だといいました。
サムの友だちのトーマスは、サムがいうことならなんでも信じます。トーマスは毎日きまった時間にやってきて、赤ちゃんカンガルーをみせてとサムにいいます。そのたびに、サムはカンガルーはどこそこにでかけたといって、トーマスにさがさせます。
絵は、黒の線画に、茶色と青緑を薄くのせたもの。絵も、レイアウトも大変みごとです。このあと、サムはトーマスに、「カンガルーはあたしの人魚のお母さんを訪ねに青岩にいった」といいます。でも、青岩への道は、潮が満ちると水に浸かってしまうのです。そのうち、外は嵐になってきて──と、物語は続きます。空想好きの女の子の振る舞いをよく捕らえた、印象深い読物絵本です。コールデコット賞受賞。小学校低学年向き。
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