2012年2月9日木曜日

ネコ横丁












「ネコ横丁」(イブ・スパン・オルセン/作 木村由利子/訳 文化出版局 1980)

ラウラとラッセは、大きなマンションに引っ越してきました。窓からは、ネコのいる横丁がみえました。中庭に降りてみると、いつのまにか、ラッセがいなくなっていました。「大変、さがさなくちゃ」と、ラウラはネコ横丁にむかいました。

ラウラが横丁の家具屋を訪ねると、女の子がいて、寝ているひとがひとりでに服が着られる、ヘンテコなベッドの説明をはじめます。つぎに靴屋にいってみると、子どもたちが大きなブーツをはいて、壁や天井を歩いています。ラウラはラッセを追って、横丁の奥に進んでいきます。

「つきのぼうや」などで高名な、オルセンの絵本です。このあと、ラウラは地下の仕事場にいき、船長の家にいき、馬小屋を通って、カウボーイたちが疾駆する大平原にいき…と、不思議な横丁めぐりはまだまだ続きます。ネコがたくさんいる、ゴチャゴチャとえがかれた横丁が魅力的な一冊です。小学校中学年向き。

2012年2月8日水曜日

たいようとつきはなぜそらにあるの












「たいようとつきはなぜそらにあるの」(エルフィンストーン・ディレル/文 ブレア・レント/絵 きしのじゅんこ/訳 ほるぷ出版 1978)

昔、太陽と水はとても仲良しで、どちらも地面の上に住んでいました。2人のうち、訪ねていくのはいつも太陽のほうで、どういうわけか水は一度も太陽のうちにきたことがありませんでした。ある日、太陽がそのわけをたずねると、水はこうこたえました。「わたしのうちは家族がとても多いのです。みんなを連れていったら、あなたははみだしてしまいますよ」

太陽は奥さんの月と一緒に、大きなうちを建てて、水とその家族を招待します。水の先頭のひとりが、入っても大丈夫かとたずねるので、太陽が、「もちろんですとも、さあどうぞ」とこたえると、水は、魚や海の生きものを引きつれて、家のなかへ流れこんで──。

アフリカの民話をもとにした絵本です。えがかれた絵や風俗は、アフリカ的ではあっても、一種族、一国家のものをモデルにしたものではないと、巻末に断りが記されています。このあと、水と生きものたちは、どんどん家に入ってきて、太陽と月は屋根にのぼるはめになってしまい…とお話は続きます。太陽、月、水といった登場人物たちが、いかにもアフリカ風なイメージでえがかれているのが印象的な一冊です。1969年度コールデコット賞受賞作。小学校低学年向き。

2012年2月7日火曜日

ねずみの王女

「ねずみの王女」(斎藤君子/文 二俣英五郎/絵 ほるぷ出版 1992)

昔、じいさまには3人の息子がいました。上の2人の息子は利口だったので、じいさまはたいそう可愛がり、なんでもいうとおりにしていました。ところが、末の息子はできが悪かったので、じいさまはぼろばかり着せていました。ある日、大きくなった3人は、嫁をみつけにいくことになりました。じいさまは、上の2人には立派な服と立派な馬をやり、末の息子にはなにもやりませんでした。

足の向くままに歩いていった末の息子は、森の中で一軒の小屋をみつけます。なかには一匹のネズミがいて、「旅のおかた、どちらへおいでですか」と、可愛らしい声で訊いてきます。嫁をさがしにいくところだと、末の息子がこたえると、「わたしを、あなたのお嫁さんにしてください」とネズミがいいます──。

ロシアとフィンランドの境、カレリアという土地の昔話をもとにした絵本です。あとがきによれば、カレリアは叙事詩「カレワラ」を生んだ土地だということです。このあと、おじいさんは、嫁が焼いたパンが食べたいと、うちに帰った息子たちにいいます。さっそく、兄たちは花嫁たちのところにでかけますが、ネズミにパンが焼けるはずがないと、末の息子は困ってしまいます。ですが、ネズミはじつは、魔法使いに姿を変えられた美しい娘で、末の息子が眠ると、仲間のネズミたちを指図して、美味しいパンを焼き上げます。最後、花嫁がネズミの馬車に乗っておじいさんを訪ねにいく場面では、大スペクタクルが展開します。小学校中学年向き。

2012年2月6日月曜日

365まいにちペンギン












「365まいにちペンギン」(ジャン=リュック・フロマンタル/文 ジョエル・ジョリヴェ/絵 石津ちひろ/訳 ブロンズ新社 2006)

1月1日、宅急便のお兄さんが箱を届けにきました。なかに入っていたのはペンギンでした。でも、差出人の名前はどこにもありません。すると、お姉ちゃんのアンディーヌが手紙をみつけました。「ぼくはペンギン1号。おなかがすいたらなにか食べさせてね」

翌日も、その翌日もペンギンは届けられます。一週間後、ペンギンは7羽に。みんなで名前をつけていると、ママがぴしゃり、「わざわざ名前なんてつけることないわ。だっていつまでもうちにいるわけじゃないもの」。ですが、ペンギンは毎日増え続け、とうとう1月の終わりには31羽に──。

毎日毎日、ペンギンが増え続けていくという絵本です。絵は、グラフィカルかつユーモラスなもの。かぞえると、ちゃんとペンギンの数があっているのがうれしいところです。このあとも、ペンギンはどんどん増え続け、パパはペンギンの食費の計算をしたり、ペンギンの整頓のしかたを考案します。そして、家中がペンギンだらけになったとき、送り主があらわれます。ちょっとした算数もある、ユーモラスな絵本です。小学校中学年向き。

2012年2月3日金曜日

魔術師の弟子











「魔術師の弟子」(バーバラ・ヘイズン/文 トミー・ウンゲラー/絵 たむらりゅういち/訳 あそうくみ/訳 評論社 1977)

ずっと昔、なんでも知っている魔術師がいました。王子をネズミに変えることも、小石を黄金に変えることも自由自在でした。ライン川を見下ろす城に住み、地下室の研究所にあるカギのかかった本棚に、「魔術用語および呪文大全」という大事な本をしまっていました。研究室の真ん中には水槽があり、これを毎日いっぱいにするのは弟子のフンボルトの仕事でした。フンボルトは、魔術師が雑用ばかりいいつけるのに、うんざりしていました。

さて、魔術師はある日、会議に出席するため城を留守にします。本棚のカギが置き忘れられているのをみつけたフンボルトは、「魔術用語および呪文大全」をとりだし、ほうきの魔術をつかってみます。すると、ほうきはバケツをもち、ライン川から水をくんできます――。

「魔法使いの弟子」の物語をもとにした絵本です。ウンゲラーの絵は、黒と赤と緑を多用した、おどろおどろしくも愛嬌のあるもの。このあと、ほうきは水槽の水をいっぱいにし、それでも水くみをやめなくて…と物語は続きます。小学校中学年向き

2012年2月2日木曜日

ぞうのオリバー












「ぞうのオリバー」(シド・ホフ/作 三原泉/訳 偕成社 2007)

サーカス団に入るために、たくさんのゾウが船に乗ってやってきました。港に着き、サーカス団の団長さんが、船から降りてくるゾウの数をかぞえると、注文したより1頭多い、11頭目のゾウがあらわれました。11頭目のゾウはオリバーといいました。

11頭目のオリバーは、サーカス団にいれてもらえません。見知らぬ土地で、いくあてがなくなってしまったところ、親切なネズミに教わり、とりあえず動物園を訪ねます。「ぼくをここに置いてもらえませんか」と、オリバーは園長さんにたずねるのですが、もうゾウはいるもんでねと断られてしまいます。

「ナガナガくん」や「きょうりゅうくんとさんぽ」などで高名なシド・ホフによる絵本です。ユーモアのある明朗な語り口は、この作品でもよく発揮されています。このあと、オリバーは、「ぼくをペットにしたいひといませんかぁ」と、道を歩いてゆき、イヌの真似をしたり、馬の真似をしたりするのですが、いまひとつうまくいきません。ですが、子どもたちと出会って遊んでいるうちに、風向きが変わってきます。小学校低学年向き。

2012年2月1日水曜日

たったひとつのねがいごと












「たったひとつのねがいごと」(バーバラ・マクリントック/作 福本友美子/訳 ほるぷ出版 2011)

お母さんがカゼをひいて寝こんでしまったので、モリーはマントをはおり、帽子をかぶって、晩ごはんの魚を買いにでかけました。すると、知らないおばあさんに声をかけられました。「今夜、あなたのお皿の魚から、骨が1本みつかります。それは、魔法の骨ですから、大事にとっておきなさい。あなたのお願いをどんなことでもひとつだけかなえてくれます」

見知らぬおばあさんがいったとおり、その晩モリーが魚をすっかり食べてしまうと、白い骨が1本あらわれます。弟たちや妹たちは、モリーがなにをお願いするのか知りたくてたまりません。そのうち、弟たちや妹たちは、ぐったりしているウサギを治してほしいとか、お母さんが大事にしている器を割ってしまったので、もとにもどしてほしいとかいってくるのですが──。

作者は、「ないしょのおともだち」などを描いたひと。カバー袖の文章によれば、この作品はディケンズのお話にヒントを得てつくられたそうです。そのせいか、舞台はヴィクトリア朝のロンドンをほうふつとさせます。登場人物はすべて擬人化され、モリーたちは可愛らしいネコの姿をしています。さて、お話ですが、ぐったりしているウサギは赤ちゃんが生まれそうだったからですし、割れた器は、モリーがかけらをつなぎあわせて直します。ですが、一番下の妹のフィリスが、魔法の骨をさがしにいったきりもどってこなくなってしまって…とお話は続きます。精緻にえがかれた絵が、大変見応えのある1冊です。小学校中学年向き。