2012年9月28日金曜日

花さき山












「花さき山」(斎藤隆介/文 滝平二郎/絵 岩崎書店 1969)

あやは、祭りのごちそうの山菜をとりに、山に入りました。奥へ奥へといくうちに、道に迷い、不思議な花が咲く場所にやってきました。すると、山んばがあらわれて、花の由来を語りはじめました──。

この花は、ふもとの村の人間がやさしいことをすると、ひとつ咲く。あや、きのうおまえは、妹のそよが祭りの赤いべべを買ってくれと泣いて、おっ母を困らせたとき、「おらはいらねえから、そよさ買ってやれ」といったべ。おまえの足元に咲いている赤い花、それはおまえがきのう咲かせた花だ──。

絵は、おそらく版画。絵本にはめずらしく、黒を一面につかっており、それが神秘的な印象をだしています。文章は、山んばによる1人称の、民話風のもの。このあと、あやが山から下りると、紙面は白くなり、語り口は3人称に変わります。あやは、もう一度花さき山にいこうとするのですが、しかし山はみつかりません。でも、花さき山の花は、あやの胸に宿ります。初版は1969年、手元の2007年刊行の本は132刷。ロングセラーを続ける創作民話絵本です。小学校低学年向き。

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