「ひとりぼっちのこねずみ」(エゴン・マチーセン/作 おおつかゆうぞう/訳 福音館書店 1986)
子ねずみの〈ねずお〉は、食べものを見つけられず、すっかりくたびれてしまいました。ある日のこと、かわいくてやさしい〈ねずこ〉が、しょんぼりしている〈ねずお〉の前を通りがかりました。「ぼく、ろくに食べていないんだ。ここにはなんにもないんだよ」と、〈ねずお〉がいうと、〈ねずこ〉がこたえました。「ちゃんとしたネズミなら、そんなことはいわないわ。あなたがもっとよくまわりを見てみれば、きっとなにかがみつかるはずよ。わたしは自分の穴のなかで、あなたがくるのを待ってるわ」
〈ねずこ〉が去り、はじめはすねていた〈ねずお〉ですが、ぴょんと立ち上がると、自分にむかってこういいます。「ちゃんとネズミらしくやってみろよ」。そして、いつもよりずっと遠くのほうまで、食べものを探しにでかけます──。
「ちゃんとネズミらしくやろう」と奮起した〈ねずお〉のお話です。このあと、牛小屋をみつけた〈ねずお〉は、そこで具合よくやるすべを身につけます。ページのなかにいくつも絵が描かれ、その前後に文章がつけられた、画文一致の体裁です。一見、稚拙にみえる絵が、読み進めるうちに味わい深いものに変わっていきます。小学校低学年向き。
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