「ねこといぬとたからの玉」(藤かおる/文 梶山俊夫/絵 太平出版社 2001)
昔、村はずれの、川と海が一緒になるあたりに、一軒のわらぶき屋根がありました。そこには、じいとばあとネコとイヌが、貧しかったけど仲良く暮らしていました。ある日、海に釣りにでかけたおじいさんは、大きな金の魚を釣り上げました。すると、金の魚は目に涙を浮かべていいました。「わたしは竜宮の王子です。命を助けてくれたら、竜宮の宝の玉をあげます」。かわいそうに思ったじいは、金の魚を海に返してやりました。
さて、次の日の朝、ひとりの立派な若者がやってきて、じいに宝の玉を渡していきます。「玉に手をおいて、ほしいものをだせといえば、願いがかないます」。そこで、玉に手をおいて、「玉よ、家をだせ」といってみると、わらぶき屋根が消え、大きな屋敷があらわれます──。
韓国・朝鮮の民話をもとにした絵本です。このあと、玉にコメや味噌や小判をださせたじいは、村一番の長者になりますが、それを不審に思った川むこうの欲張りばあが、じいのところにやってきて、玉をすりかえてしまいます。欲張りばあが自分の家を屋敷にすると、じいの家はもとのわらぶき小屋にもどってしまい、ネコとイヌは玉をとりもどしに川を渡り、欲張りばあの屋敷にむかって…と、後半はネコとイヌの活躍へと続きます。おそらく、同じ民話をもとにした絵本に、「いぬとねこ」(ソジョンオ/再話 シンミンジェ/絵 おおたけきよみ/訳 光村教育図書 2007)があります。読みくらべてみるのも面白いでしょう。小学校低学年向き。
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