「すえっこおおかみ」(ラリー・デーン・ブリマー/文 ホセ・アルエゴ/絵 アリアンヌ・デューイ/絵 まさきるりこ/訳 あすなろ書房 2003)
あるとても気持ちのいい夏の朝、大きな灰色の父さんオオカミは、子どもたちがひなげしの原っぱで遊んでいるのをみていました。ところが、1匹だけほかの子どもたちのように遊んでいない子がいることに気づきました。それは、一番小さな末っ子オオカミでした。大きく枝を張ったナラの木にかくれて、そこからこっそりほかの子どもたちをみているのです。「どうしておまえは兄さんや姉さんたちと一緒に遊ばないのだね」と、父さんオオカミが訊くと、末っ子オオカミはドングリをいじりながらいいました。「だって、フランキー兄ちゃんがぼくのこと、真っ直ぐ転がれないからだめだっていうんだ──」
いっぺんやってみせてごらんと、父さんオオカミがいうと、末っ子オオカミはボールのように丸くなり、ジグザグと曲がりくねって転がっていきます。それをみた父さんオオカミは、ちょっと考えてから「それでいいんだ」とこたえます。「まっすぐ転がるのは大きくなってからだ」
いろいろとうまくいかない末っ子オオカミのお話です。父さんオオカミは、悩みの多い末っ子に、そのつど慰めをあたえます。絵は、ふにゃっとした線に水彩で色づけしたもの。柔らかい描線が、ユーモラスな味わいをだしています。小学校低学年向き。
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