2012年1月13日金曜日

どろぼうがっこう












「どろぼうがっこう」(かこさとし/作 偕成社 1978)

山また山の村はずれに、泥棒学校がありました。校長先生は世にも名高い、くまさかとうえもん先生。「泥棒学校の生徒は一生懸命精だして、早くいちばん悪い泥棒になるよう勉強しなければいかんぞ」と、先生がいうと、可愛い泥棒学校の生徒たちは、はーい、へーい、ほーい、わかりやしたー、合点でござんすとこたえました。

くまさか先生は、なにか泥棒をやってこいと宿題をだします。翌日、ネズミ小僧のじろきちがもってきたのは革靴。「ぼくのうちからもってきたんです」。石川のろくでなしは、アリのたまごを30ばかり、ほかの生徒はくまさか先生の金時計や、学校の黒板を泥棒してきます──。

かこさとしの、ロングセラー絵本の一冊です。可愛い生徒たちが、やけに凶悪なツラがまえをしているところがおかしいです。このあと、泥棒学校の先生と生徒は遠足にでかけ、金持ち村のいちばん大きなお屋敷に忍びんで…と物語は続きます。最後にちゃんと、「泥棒は引きあわない」というオチがついた楽しい一冊です。小学校低学年向き。

2012年1月12日木曜日

ピーターの自転車

「ピーターの自転車」(ヴァージニア・アレン・イェンセン/文 イブ・スパン・オルセン/絵 木村由利子/訳 文化出版局 1980)

6歳の誕生日に、ピーターは自転車をもらいました。でも、ピーターはまだ自転車に乗れません。自転車をさかさにして、手でペダルをまわしていると、牛乳屋さんが声をかけてきました。「でんぐりピーターは、昔むかしの自転車で、前の輪は大きく、後ろの輪は小さくて、走るときは大きい輪の上に乗っかるんだ。ひいじいさんは、その自転車に乗るときに、はしごを使ったんだって。それでも、しょっちゅう落ちるものだから、大きな男のひと2人に支えてもらわなきゃならなかった」

さて、ピーターは自転車を押して、妹のリサと一緒にお母さんの買いものについていきます。すると、ピーターがまだ自転車に乗れないと知ったチーズ屋さんは、ペダルがなくて、地面を蹴って進む自転車を教えてくれます。でも、ピーターは自転車にまたがると、足が地面にとどきません。それから、肉屋さんは、さまざまなハンドルについて、八百屋さんは三輪自転車や輪タクについて、乾物屋さんは、ハンドルをうごかすと前輪がまわる自転車について教えてくれます──。

さまざまな自転車が紹介される、いささかマニアックな絵本です。このあと、ピーターの友だちが、誕生祝いにあつまってきます。友だちのなかでピーターだけ自転車に乗れないので、バカにされやしないかとピーターは心配するのですが、でんぐりピーターごっこをすることで切り抜けます。そして、ピーターは仕事から帰ってきたお父さんに自転車の乗りかたを教わります。ピーターの気持ちが書かれていることで、きちんと読物絵本になっています。小学校中学年向き。

2012年1月11日水曜日

はしって! アレン











「はしって! アレン」(市川里美/絵 クライド=ロバート=ブラ/文 舟崎靖子/訳 偕成社 1980)

アレンには、姉さんがひとりと兄さんが2人いました。姉さんはジェニー、上の兄さんはマイク、下の兄さんはハワードといいました。末っ子のアレンは、ママにいつも、「姉さんや兄さんったちと一緒にいるのよ」といわれていました。でも、ジェニーとマイクとハワードは、アレンが追いつくと、「いそいでアレン、ほら走って」といって、またすぐ走りだしてしまいました。

ある日、アイスクリームがただで食べられるという噂を聞いたみんなは、アイスクリーム売りめざしてかけだします。それから、手紙をだしにいくお年寄りのフェザーさんをみつけると、お手伝いをしにかけだします。動物園から逃げたサルが木にいると聞いて、またかけだします。そのたびに、アレンは「ほら、走って!」といわれるのですが──。

絵は、ていねいにえがかれた水彩。子どもたちの姿が生き生きとえがかれています。このあと、公園を走っていて転んでしまったアレンは、草の上が気持ちよく、そのまま寝転んでしまいます。空を見上げると、雲がいろいろな形に変わっていきます。お姉ちゃんやお兄ちゃんたちがきても、アレンは起き上がろうとしません。そこで、アレンの真似をして寝転んでみると、それがなかなか楽しくて…とお話は続きます。お姉ちゃんたちのあとを追うばかりだった末っ子のアレンが、寝転ぶ楽しさをお姉ちゃんたちに教えます。小学校低学年向き。

おかのうえのギリス












「おかのうえのギリス」(マンロー・リーフ/文 ロバート・ローソン/絵 こみやゆう/訳 岩波書店 2010)

昔、スコットランドに、ちびっこギリスという男の子が住んでいました。ギリスのお母さんは谷間の村に生まれました。谷間の村のひとたちは、毛のもしゃもしゃした牛を飼って暮らしていました。ギリスのお父さんは山の村に生まれました。山の村のひとたちは、狩りでシカをしとめて暮らしていました。谷間の村のひとたちは山の村のひとたちを、山の村のひとたちは谷間の村のひとたちを、おたがい馬鹿にしていました。

さて、あるときギリスは1年間、谷間の村で暮らすことになります。牛の世話の手伝いをするようになったギリスは、草原にでた牛を呼びあつめるために、大きな声がだせるようになります。次の1年は、山の村で暮らすことになり、シカ狩りの手伝いをするようになります。ギリスは、シカを待ち伏せするために、長い時間息をとめていられるようになります。こうして、1年ごとに、谷間の村と山の村で交互に暮らし、ギリスの肺はどんどん強くなり──。

スコットランドを舞台にした読物絵本です。マンロー・リーフとロバート・ローソンは「はなのすきなうし」の作者として高名です。マンロー・リーフの荒唐無稽なお話に、ロバート・ローソンの絵が、厚みと説得力をあたえています。絵は白黒で、見開きの左ページが文章、右ページに絵という構成です。このあと、ギリスは谷間の村と山の村、どちらかを選ばなくてはならなくなります。そのとき、バグパイプ吹きの男があらわれて、話は思いがけない展開をむかえます。小学校低学年向き。

2012年1月6日金曜日

ウィンクルさんとかもめ












「ウィンクルさんとかもめ」(エリザベス・ローズ/文 ジェラルド・ローズ/絵 ふしみみさを/訳 岩波書店 2006)

漁師のウィンクルさんは、いつもひとりぼっちでした。魚もあまりとれませんでしたし、話し相手はエサを食べにくるカモメばかり。仲間の漁師たちは、そんなウィンクルさんを馬鹿にしていました。ところが、ある日、海の魚がぱたりととれなくなってしまいました。普段は忙しい市場のおかみさんたちも、ずっと仕事がなくなり、魚屋のジョックは店を閉めてうちに帰り、ジョックのネコは日に日にやせていきました。トラック運転手のバートは、一日中カフェでお茶を飲み、市長は好物のニシンが食べられなくなってしまいました。

国中の学者があつまって研究をしましたが、どうしたらよいかわかりません。しかし、町中の漁師がすっかりあきらめてしまったあとも、毎日サリー号に乗って海にでていたウィンクルさんは、ある日、いつもエサをやっていたカモメが、ブイの上から、こちらにむかって鳴いているのに気がつきます。「ついてこいといってるんだね」と、ウィンクルさんはサリー号のエンジンをかけ、カモメのあとをついていくと──。

作者は、「おおきなかしの木」を描いたひとです。本書は、白黒ページとカラーのページが交互にくる構成。絵には躍動感とユーモアがあります。このあと、カモメのあとをついていったウィンクルさんは、カモメの群と、その下の海にいる魚の群にでくわします。ケイト・グリーナウェイ賞受賞作。小学校低学年向き。

2012年1月5日木曜日

ヘンゼルとグレーテルのおはなし












「ヘンゼルとグレーテルのおはなし」(グリム/原作 バーナデット・ワッツ/作 福本友美子/訳 Bl出版 2006)

大きな森のそばに、貧しい木こりが、おかみさん2人の子どもと一緒に住んでいました。子どもは、お兄さんがヘンゼルで、妹がグレーテルといいました。おかみさんは、木こりの2度目の奥さんで、子どもたちの本当のお母さんではありませんでした。ある年のこと、ひどい飢饉にみまわれ、食べものはほんのわずかなパンだけになってしまいました。「これから、子どもたちをどうやって食べさせていったものか」と、木こりがいうと、おかみさんがいいました。「あした、子どもたちを森へつれていこう。たき火をたいてやり、パンをひと切れずつもたせておいてきちまえばいいさ」。お腹がすいて眠れなかった子どもたちは、この話をぜんぶ聞いてしまいました。

ヘンゼルは泣きだしたグレーテルをなぐさめます。そして、木こりとおかみさんが眠ると、こっそりベッドから抜けだして、白い小石をあつめます──。

ご存知、グリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」をもとにした絵本です。このあと、森に置いていかれたヘンゼルとグレーテルは、ヘンゼルが落としてきた白い小石をたどって、ぶじ家にもどります。ですが、それからしばらくたって、また飢饉が起こります。ヘンゼルがこんど落としてきたのはパンだったので、鳥に食べられてしまい、2人は森をさまよって、お菓子の家をみつけて…とお話は続きます。絵は、親しみやすい水彩。ヘンゼルとグレーテルを見守るように、絵のはしばしに小動物がえがかれているのが印象的です。小学校低学年向き。

2012年1月4日水曜日

フロプシーのこどもたち












「フロプシーのこどもたち」(ビアトリクス・ポター/作 いしいももこ/訳 福音館書店 2002)

ベンジャミンバニーは大人になると、いとこのフロプシーと結婚しました。2人には子どもがたくさんできました。ベンジャミンの家にはいつも食べものが充分あるというわけにはいかなかったので、キャベツ畑をもっているフロプシーの兄弟のピーターのところへ、ちょいちょいキャベツを借りにいきました。けれども、ときにはピーターのところにも、分けてやれるキャベツのないときがありました。そんなとき、フロプシーの子どもたちは、草原を越えて、マクレガーさんのところのごみ捨て場にでかけました。

こうして、ある日、フロプシーの子どもたちはマクレガーさんのところのごみ捨て場で、嬉しいことに、花が咲いてしまって捨てられたレタスにありつきます。ところが、レタスは食べすぎると、ウサギにとって睡眠藥になるのです。眠気におそわれたベンジャミンとその子どもたちは、その場で眠りこけてしまい、それをみつけたマクレガーさんは、子ウサギたちを袋に入れて──。

おなじみ、ピーターラビット・シリーズの一冊です。シリーズ3冊目の本書は、ベンジャミンバニー一家についてえがかれます。このあと、袋に入れられてしまった子ウサギたちは、たまたま出会ったネズミの、トマシナ・チュウチュウによって助けだされます。そして、袋には代わりに野菜の芯などを入れておき、これからどうなるのか、袋を運ぶマクレガーさんのあとをついていきます。ベンジャミンがピーターのところにキャベツを借りにいく場面では、ピーターの奥さんがスカートを広げてキャベツを隠している絵がえがかれています。ピーターラビット・シリーズには、こんな風に文章と絵がちがうことがあって、物語をより味わい深いものにしています。小学校低学年向け。