2012年11月9日金曜日

ノアの箱舟










「ノアの箱舟」(アーサー・ガイサート/作 小塩節/訳 小塩トシ子/訳 こぐま社 1989)

ノアとその息子たちは、神さまに箱船をつくれと命じられました。箱船には、ノアと、ノアの妻と、ノアの3人の息子とその妻たちが乗り、そして地上のあらゆる生きものが、ひとつがいずつ乗るのです。ある晩、動物たちは、箱船に向かって旅をはじめました。そして、動物たちが箱船のもとに到着したとき、空には一片の雲があらわれました。

動物たちは次つぎに到着し、雲も次つぎにあらわれます。箱船は徐々に建造され、いよいよ雨が降りはじめます──。

ノアの箱船伝説をもとにした絵本です。絵は、すみずみまでみたくなる緻密な銅版画。訳文も、重厚な銅版画にふさわしい、簡潔で力強いものです。さて、大洪水が起こり船が陸地をはなれると、箱船を清潔にたもつために、ノアの一家は懸命にはたらきます。そして、ついに雨が上がった場面では、洗濯物とともに、箱船の屋根でくつろぐノアの一家がえがかれます。読んでいて、乾いた風を感じるような思いがします。小学校中学年向き。

2012年11月8日木曜日

川のぼうけん












「川のぼうけん」(エリザベス・ローズ/文 ジェラルド・ローズ/絵 ふしみみさを/訳 岩波書店 2012)

高い山のてっぺんに、雨つぶが降りました。雨つぶたちは土の割れ目を下り、草木の根本をまわって、やがて石の上をちょろちょろ走る小さな流れになりました。いつのまにか雨が上がり、弧をえがいて飛ぶタカに、流れは声をかけました。「タカさん、一緒に海にいこうよ。ぼく、大きな川にんりたいんだ」

流れはやがて小川になり、滝になり、干上がりそうになったと思ったら嵐のおかげで勢いを増し、一路海へと向かいます。

エリザベスとジェラルドの、ローズ夫妻は、「ウィンクルさんとかもめ」や「おおきなかしの木」の作者です。絵は、少ない色数をたくみにつかった、大変生き生きしたもの。本書は、川のはじまりから海にいたるまでを物語風に追ったものですが、同じ題材をあつかった絵本として、「川はながれる」などが思い出されます。どちらの絵本も、読み終えると、川の冒険にすっかりつきあった気持ちになります。小学校中学年向き。

2012年11月7日水曜日

えんぴつくん












「えんぴつくん」(アラン・アルバーグ/文 ブルース・イングマン/絵 福本友美子/訳 小学館 2008)

昔、あるところに、1本のエンピツがありました。どこにでもある、なんてことのないエンピツでしたが、ある日、むくっと起き上がると、ぶるっとからだを震わせ、男の子をひとり描きました。「名前をつけて」と、男の子がいったので、バンジョーと名づけました。すると、「じゃあ、ぼくにイヌを描いて」とバンジョーはいいました。

エンピツ君は、イヌを描き、ネコを描き、2匹が走り回る家を描きます。みんながお腹がすいたというので、リンゴと骨とネコ缶を描くのですが、みんな、これじゃ食べられい、だって白黒だものといいだして──。

エンピツ君が書いた絵が、どんどん本当になっていくという絵本です。絵は、もちろんエンピツと水彩でえがかれたもの。みんなに、「白黒だもの!」といわれたエンピツ君は、ちょっと考えて、絵の具の筆を描きます。キティ(絵の具の筆の名前)のおかげで、世界はすっかりカラフルになるのですが、こんどはみんな、自分の容姿や格好に文句をいいはじめます。そこで、エンピツ君は消しゴムを描くと消しゴムは調子にのって、世界をどんどん消しはじめ──と、お話は続きます。みんなからの要望を、とんちを効かせて乗り切る、エンピツ君の活躍が楽しい一冊です。小学校低学年向き。

2012年11月6日火曜日

せかいをみにいったアヒル












「せかいをみにいったアヒル」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 イーラ/写真 ふしみみさを/訳 徳間書店 2009)

ある日、アヒルは世界をみにいこうと思いました。そうだよ、クワッ、グワッ。まだ、だれもアヒルをみたことがないかもしれないだろう? アヒルは水浴びをして、翼をばさばさやり、身支度をととのえると、海を泳いで砂浜にたどり着きました。

アヒルは、砂漠で一匹のイヌと出会います。生まれてはじめてアヒルをみたイヌは大喜び。動物園にはいろんな動物がいるとイヌから聞いたアヒルは、カメの背中に乗り、さっそく町に向かいます。

「おやすみなさいおつきさま」で高名な、マーガレット・ワイズ・ブラウンと、「二ひきのこぐま」などの写真絵本を手がけたイーラによる一冊です。本書も写真絵本。たくみな編集により、次つぎに動物たちと出会うアヒルの旅が、ユーモラスにえがかれています。さて、このあと動物園にでかけたアヒルは、ライオンやトラと会ったり、ニワトリと合唱したりします。大胆不敵なアヒルと、動物たちとのやりとりが楽しい絵本です。小学校低学年向き。

2012年11月3日土曜日

リリィのさんぽ












「リリィのさんぽ」(きたむらさとし/作 平凡社 2005)

リリィは、子イヌのニッキーと散歩をするのが大好きでした。少しくらい暗くなっても、ニッキーと一緒なら、ちっとも怖くありません。きょうもリリィはニッキーと一緒に散歩にでかけ、途中買いものをして、おばさんのお家の前を手を振りながら通り、橋を渡って家に帰りました。

リリィは散歩の途中、星を見上げたり、川のカモに挨拶をしたりします。でもそのとき、ニッキーは、風景のなかに恐ろしい顔をみつけたり、化けものに出会ったりしていたのです──。

きたむらさとしは、「ぼくはおこった」の作者。ユーモラスでマンガ風な絵柄が特徴です。散歩中、風景の一部が顔になっていたり、化けものがあらわれたりいて、ニッキーが怖い思いをしているのに、リリィはのんきに歩いているのが可笑しいところです。表紙にも、よくみると不思議な顔が隠されています。小学校低学年向き。

2012年11月2日金曜日

おいっちにおいっちに












「おいっちにおいっちに」(トミー・デ・パオラ/作 みらいなな/訳 童話屋 2012)

おじいちゃんは、ぼくの一番の親友でした。おじいちゃんの名前はボブ。ぼくの名前、ボビーの「ボ」は、おじいちゃんからもらいました。ぼくがよちよち歩きのとき、おじいちゃんは歩き方を教えてくれました。「あんよは上手。おいっちに、おいっちに」。ある日、ぼくとおじいちゃんは、階段の下にある納戸から、古い積み木をみつけました。積み木は全部で30個。うまく積み上がるときもあれば、くずれるときもありました。30個目の、ゾウの積み木をのせたとき、おじいちゃんがくしゃみをしたので、積み木はくずれてしまいました。ぼくはそれをみて大笑いしました──。

ぼくは、おじいちゃんのひざにのってお話を聞いたり、一緒に花火をみにいったりします。ところが、ある日、おじいちゃんは脳の病気になって入院していまいます。

「神の道化師」などで高名な、トミー・デ・パオラによる絵本です。このあと、退院してきたおじいちゃんは、じっとしているきりで、ボビーはなんだか怖くなってしまいます。「おじいちゃんはなにもかも、全部わからなくなってしまったのよ」と、お母さんはいうのですが、ボビーはそんなことあるもんかと思います。そして、階段の下の納戸から積み木を引っ張りだして、おじいちゃんの前で積み木を積んでいきます。おじいちゃんとぼくの友情をえがいた、美しい絵本です。小学校低学年向き。

2012年11月1日木曜日

あそぼうよ












「あそぼうよ」(五味太郎/作 偕成社 2001)

小鳥がキリンに「あそぼうよ」というと、キリンは「あそばない」とこたえます。顔をそらしたり、木に頭を突っこんだり、ゾウのかげにかくれたりするキリンに、小鳥は何度も「あそぼうよ」といい続けるののですが──。

「みんなうんち」など、多くの著書をもつ五味太郎さんによる絵本です。言葉はほとんど、「あそぼうよ」「あそばない」だけ。にもかかわらず、小鳥とキリンのあいだに親しいものを感じさせます。キリンのデザインなど、絵柄も秀逸。ラストも気が利いています。小学校低学年向き。