「やぎとぎんのすず」(八百板洋子/文 小沢良吉/絵 鈴木出版 2006)
ある日、お百姓さんはヤギに、銀の鈴をつけてやりました。ヤギは嬉しくて、首を振りながら跳ねまわりました。草はらの先に森があり、ヤギはそのなかに入っていこうとしました。ところが、イバラが茂っていてなかには入れません。ヤギがむりやり通ろうとすると、鈴が首からはずれて落ちてしまいました。
「イバラめ、なんてことをするんだ。ぼくの鈴を返してくれ」と、ヤギはいいますが、イバラは「自分でとるがいい!」と知らんぷりします。そこで、ヤギは、イバラをひどいめにあわせてやろうと、ノコギリのところにいくのですが──。
ルーマニアの昔話をもとにした絵本です。絵は、さっとえがかれた水彩。見返しに、ヤギのスケッチがたくさんあり、目を楽しませてくれます。さて、ヤギはノコギリのもとを訪れ、イバラへの仕返しを頼むのですが、「イバラはなにも悪いことはしていない」と、ノコギリに断られてしまいます。そこで、ヤギはこんどは火のもとを訪れて、ノコギリを燃やしてくれ頼むのですが──。このあと、ヤギは、川、ウシ、お百姓のもとを訪れます。「ひつじかいとうさぎ」などと同様、典型的な積み上げ話のパターンなのですが、最後の最後でそのパターンはくずされます。いささか根性の悪いヤギが、相応の報いをうける、気持ちのいい1冊となっています。小学校低学年向き。
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