2011年8月31日水曜日

ヌードル










「ヌードル」(マンロー・リーフ/文 ルドウィッヒ・ベーメルマンス/絵 福本友美子/訳 岩波書店 2003)

ヌードルは、庭に穴を掘っていました。鼻の先から尻尾までがこんなに長くて、頭のてっぺんから足までがこんなに短いヌードルには、穴掘りはけっこう大変でした。骨の匂いを嗅ぎつけたヌードルは、どんどん穴を掘り、ついに骨をみつけました。鼻先で骨にふれながら、ヌードルは大きな声で、「ぼくのからだがこんなかたちじゃなかったらいいのになあ。そうしたら、この骨だってもっと楽に掘りだせるのに」といいました。

ヌードルが骨を丸ごと掘りだして外にでると、小鳥みたいな羽根のはえた白い犬がいます。それは犬の妖精でした。じつは、ヌードルが掘りだしたのは、願いのかなう骨だったのです。「どんな大きさで、どんなかたちがよろしいの?」と、犬の妖精はいうのですが──。

「はなのすきなうし」などで高名なマンロー・リーフと、「げんきなマドレーヌ」(ルドウィッヒ・ベーメルマンス/作 瀬田貞二/訳 福音館書店 1972)などのマドレーヌ・シリーズで高名なベーメルマンスによる絵本です。ベーメルマンスのさっと描いたような絵が、とても魅力があります。このあと、犬の妖精にしばしの猶予をもらったヌードルは、動物園にいき、シマウマ、カバ、ダチョウ、キリンの意見を聞きいてまわります。少し長めの絵本ですが、最後まで楽しく読むことができるでしょう。小学校低学年向き。

2011年8月30日火曜日

おおきなあかいなや












「おおきなあかいなや」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 フェリシア・ボンド/絵 えくにかおり/訳 偕成社 2001)

広びろした緑の牧場の、大きな赤い納屋のそばに、鳴きかたをおぼえたばかりのピンクの子ブタと、大きな馬が一頭と、かわいい小さな子馬が一頭いました。それから、屋根には、金色の空飛ぶ馬の風見も一頭いました。

牧場にはほかに、ヒツジ、ロバ、ガチョウ、ヤギがいます。トウモロコシ畑ではネズミの赤ちゃんが生まれ、納屋のなかには、オンドリとメンドリと、大きな雌牛と小さな子牛がいて、チャボが玉子を生んでいます──。

大きな赤い納屋に暮らす動物たちの一日をえがいた絵本です。まだこのほかにも、イヌやネコがいて、みんな一日中牧場で遊び、日が暮れると納屋にもどって眠ります。「もしもねずみにクッキーをあげると」などをえがいた、フェリシア・ボンドによるていねいな絵が、一日という時間がたったことを実感させてくれます。小学校低学年向き。

2011年8月29日月曜日

こぐまくんのハーモニカ












「こぐまくんのハーモニカ」(ジョン・セバスチャン/作 ガース・ウィリアムズ/絵 三木卓/訳 リブリオ出版)

こぐまくんのお母さんはお話を書くひと、お父さんはハーモニカを演奏するひとでした。いつもの年のように、新しいハーモニカが届くと、お父さんは1本1本試し吹きをはじめました。そして、この年、お父さんは自分でつかうハーモニカを1本、こぐまくんにくれました。こぐまくんがそっと、いろんな吹きかたをしてみると、へんてこな音のなかから、ときどき短いメロディのようなものがあらわれました。「そうやって、きみがずうっと吹いていけば、きみのなかにある音楽が、ますます鳴りだすようになる」と、お父さんはいいました。

練習にはげんだこぐまくんは、やがてひとから、「大人になったらお父さんみたいになれるかもしれないぞ」といわれるようになります。そういわれて、はじめのうちは喜んでいたこぐまくんでしたが、だんだんと気が重くなってきます──。

ハーモニカを吹くことに悩むこぐまくんのお話です。絵は白黒の2色。ガース・ウィリアムズは、ハーモニカを吹くこぐまくんを大変可愛らしくえがいています。こぐまくんが悩んでいたのは、自分がいつもお父さんとくらべられることでした。こぐまくんは、自分がお父さんのようになりたいのかよくわかりません。そんなこぐまくんに、お父さんは優しいことばをかけます。ハーモニカを通して親子の機微をえがいた、素敵な一冊です。小学校低学年向き。

2011年8月26日金曜日

サンタのなつやすみ












「サンタのなつやすみ」(レイモンド・ブリッグズ/作 さくまゆみこ/訳 あすなろ書房 1998)

夏のバカンスをフランスですごそうと決めたサンタクロースは、ソリをキャンピングカーに改造し、ペットたちをホテルに入れて、フランスにやってきます。バードウオッチングやお絵かきを楽しみますが、フランス料理がお腹にあわず、食あたりに。それに、フランスの朝ごはんは、クロワッサンにコーヒーだけなのです。そこで、サンタは、水のきれいなスコットランドをめざします──。

サンタクロースはどんな風に夏をすごしているのかをえがいた絵本です。コマ割りされたマンガの体裁をしています。サンタクロースも、普通の旅行者のように、旅先でお腹をこわしたり、文句をいったりしているのが可笑しいです。このあと、スコットランドを訪れたサンタクロースでしたが、あまりの寒さに閉口し、次はラスベガスをめざします。どこへいっても、子どもたちだけがサンタの正体を見破ります。小学校低学年向き。

2011年8月25日木曜日

もうぜったいうさちゃんてよばないで












「もうぜったいうさちゃんってよばないで」(G.ソロタレフ/作 すえまつひみこ/訳 リブリオ出版 2000)

あるところに、「うさちゃん」と呼ばれている子ウサギがいました。ほんとうの名前は、ジャン・ニンジンスキーといいましたが、だれもその名前で呼んではくれません。おじいさんに相談してみると、「わしら大人からみると、子どもはみんな小さくて、そりゃあかわいいもんじゃ、大きくなれば、うさちゃんじゃなくて、うささんとかジャンとか呼ばれるようになろうて」と、おじいさんはいいました。

おじいさんにこういわれたものの、ジャンは納得ができません。どうすれば、「うさちゃん」と呼ばれないようになるのか考えたすえ、「世界一のものすごいワルのウサギになればいいんだ」とひらめきます。そこで、銀行強盗をするのですが、警察につかまり、刑務所に入れられてしまいます。

「うさちゃん」と呼ばれたくなかった子ウサギのお話です。絵は、漫画風のユーモラスなもの。お話はこのあと、刑務所で出会ったちびのジムと一緒に、ジャンは刑務所を脱走して…と続きます。奇想天外なストーリーが楽しい一冊です。小学校低学年向き。

2011年8月24日水曜日

ネズミはひとり森のなか












「ネズミはひとり森のなか」(トニー・ジョンストン/文 ダイアン・スタンレー/絵 小川仁央/訳 評論社 1987)

森のなかの小さな家に、小さなネズミが住んでいました。ネズミはいつもひとりぼっちで、チーズやミツバチのロウでできたロウソクを、コリコリかじっていました。ときどき森をみて、「森のなかにはだれがいるんだろう。ほかのネズミでいっぱいかしら」と思いました。でも、恥ずかしがりやのネズミは、森にでていくことはしませんでした。

あるとき、ネズミのところにコオロギがやってきて、二人は友だちになります。コオロギはネズミに、外にはたくさん木があって、仲良しの友だちがいて、雪があるのだと説明します。そして、夜にむかってコオロギがうたうと、どこからか楽しそうなさざめきが、ネズミの耳に聞こえてきます──。

ひとりぼっちのネズミをえがいた絵本です。文章は詩的でリズミカル。おそらく色鉛筆でえがかれた絵は、ぐっと色調をおさえ、モノクロに近い印象でえがかれています。楽しそうなざわめきは、ハトとウサギとリスによる聖歌隊で、ネズミとコオロギをたずねてきたのだとわかります。とても静かな、クリスマス絵本の一冊です。小学校低学年向き。

2011年8月23日火曜日

ラルーシとひつじのぼうや












「ラルーシとひつじのぼうや」(サゾン・スラザーコフ/文 ベーラ・フレーブニコワ/絵 松谷さやか/訳 福音館書店 2001)

朝早く、ウシのお乳をしぼりにいったおばあちゃんは、「ラルーシ、赤ん坊が生まれたよ」と、羊の赤ん坊を抱いて帰ってきました。ラルーシはベッドから飛び起きました。羊の赤ん坊は、ぶるぶるふるえて、まだちゃんと立てません。「ラルーシ、あたたかい家のなかで、しばらく面倒をみてやってくれ」と、おばあちゃんがいいました。

羊の坊やは、ラルーシのあとをどこにでもついていくようになります。ラルーシがどこにかくれてもみつけてしまいますし、こっそりお使いにでかけても、必ずあとからやってきます──。

女の子と羊の赤ちゃんの交流をえがいた絵本です。絵は、色鉛筆かもしくはパステルでえがかれた涼しげなもの。奥付の著者紹介によれば、作者のサゾン・スラザーコフは、西シベリアのアルタイ生まれで、アルタイ民族の生活のテーマに作家活動をしているそうです。そして、本書の原作は、ロシアの詩人ステュアルトにより、アルタイ語からロシア語に翻訳されたということです。女の子と羊の坊やのやりとりが楽しい、美しく品のある一冊です。小学校低学年向き。