2013年4月20日土曜日

ふくろうのそめものや















「ふくろうのそめものや」(山口マオ/作 鈴木出版 2001)

昔、フクロウは染めもの屋をしていました。森じゅうの鳥たちがやってきては、からだを好きな色に染めてもらい、それは繁盛していました。そのころ、カラスは真っ白でした。カラスはそれが自慢だったのですが、ほかの鳥たちが次つぎにきれいな色になるのをみて、染めもの屋にすっ飛んでいきました。

カラスはフクロウに、桃色にしてくれと頼みます。ところが、まだ染めてもらっている途中で、「待てよ、こっちの青のほうが目立つかな」といいだして――。

カラスはなぜ黒いのかという、日本の民話をもとにした絵本です。文章はタテ書き。絵は版画。シンプルで、よくお話にあっています。さて、このあとも、カラスは気まぐれな注文ばかりします。とうとうフクロウは腹を立て、そこらじゅうの色をカラスにぶちまけて――と、お話は続きます。小学校低学年向き。

2013年4月17日水曜日

シモンのおとしもの















「シモンのおとしもの」(バーバラ・マクリントック/作 福本友美子/訳 あすなろ書房 2007)

まだ馬車が走っているころのパリ。アデールは、弟のシモンを迎えに学校にいきました。シモンはセーターの上に上着を着て、帽子をかぶり、マフラーと手袋をしていました。それから、カバンを背負い、本とクレヨンと学校で描いたネコの絵をもっていました。「シモン、きょうは落としものをしないように帰ろうね」と、アデールがいうと、「うん、大丈夫」と、シモンはこたえました。

ところが、シモンはさっそく市場でネコの絵をなくしてしまいます。公園では本をなくし、博物館ではマフラーをなくしてしまい――。

作者のバーバラ・マクリントックは、「ないしょのおともだち」などの作者です。ちょっと銅版画を思わせるような、抑えた色づかいでえがかれた古風な絵は、よく作品にあっています。さて、本書はシモンが落としたものをみつける絵本です。このあと、地下鉄の駅前や、ルーブル美術館や、お菓子屋メゾン・カドールの店内で、シモンは落としものをし続けます。緻密にえがかれた背景のどこかに、落しものが隠れているのですが、それをみつけるのはなかなか大変。でも、最後、落しものは思いがけなくシモンのもとに届けられます。姉妹編に「シモンのアメリカ旅行」(2010)があります。ところで、植物園のむこうを歩いているのは、マドレーヌたちでしょうか…。小学校低学年向き。

いちごばたけのちいさなおばあさん















「いちごばたけのちいさなおばあさん」(わたりむつこ/文 中谷千代子/絵 福音館書店 1983)

イチゴ畑の土のなかに、小さなおばあさんがすんでいました。おばあさんの仕事は、イチゴの実に赤い色をつけて歩くことでした。ある年、ぽかぽかとした、あたたかい日が続いたことがありました。おばあさんが階段をのぼり、地面の上にでてみると、イチゴ畑は見渡すかぎり青あえとした葉をしげらせていました。

「まあ大変、いまごろからイチゴがこんなに伸びてるなんて、これでは花が咲くのも間近だわ」と、おばあさんは大あわてで、イチゴに塗る赤い色づくりにとりかかります。

絵を描いた中谷千代子さんは、「かばくん」の絵をえがいたひと。絵はおそらく、薄塗りの油絵。土の色を紫色でえがいたところに工夫があります。さて、このあと、おばあさんは大急ぎで赤い色をつくり、イチゴにそれを塗っていきます。ところが、畑中のイチゴに色をつけた翌日、あたり一面真っ白な雪野原になっていて――と、お話は続きます。作中に、畑中のイチゴを塗り終わったおばあさんがうたう歌があります。小学校低学年向き。

たにし長者















「たにし長者」(岩崎京子/文 長野ヒデ子/絵 教育画劇 1996)

あるところに、はたらき者の夫婦がいました。子どもがいなかったので、「たとえタニシみててえに、ちっこい子でもええ、どうかさずけてけろ」と、水神さまにお願いをしました。すると、「よし、そこに転がっているタニシをやろう」と、水神さまの声がして、目を開けると、ひざの上にタニシが転がっていました。

水神さま申し子のタニシを、夫婦は大切に育てます。でも、10年たっても、20年たってもタニシは大きくなりませんし、口もききません。ある日、お父つぁんが年貢の米をウマにつけながら、年をとったことを嘆いていると、突然どこからか声がします。「おらが、ウマを引いていくだよ」――。

昔話、「たにし長者」をもとにした絵本です。文章はタテ書き。絵は、太い描線の柔らか味のあるもの。さて、このあとタニシはウマを引き、長者どんの家に米をはこびます。長者どんに気に入られたタニシは、下の娘をヨメもらい、おかげで家は明るくなり、ヨメはムコ殿を帯にはさんでよくはたらいて――と、お話は続きます。小学校低学年向き。

2013年4月14日日曜日

くるまはいくつ?














「くるまはいくつ?」(渡辺茂男/文 堀内誠一/絵 福音館書店 1967)

車は三角ではありませんし、四角でもありません。車は丸いから転がります。車が1つあるものなあんだ?」――1輪車。「車が2つあるものなあんだ?」――2輪車。2輪車は自転車。車が2つあるものはまだあります――。

車があるものを挙げていく絵本です。文書はカギカッコなどありませんが、会話形式で書かれています。絵は、線の太い、よく遠目のきくもの。車が3つあるものは、3輪車で、4つあるものは、乗用車。質問は10まであり、そのあと「数え切れないほどたくさん車がついているものなあんだ?」という質問に続きます。会話のやりとりが愉快な一冊です。小学校低学年向き。

2013年4月12日金曜日

まんげつダンス!















「まんげつダンス!」(パット・ハッチンス/作 なかがわちひろ/訳 福音館書店 2008)

満月の夜、ブタとヒツジとウマは月を見上げ、「こんな日はひと晩中踊っていたいわね」といいました。でも、子どもたちがすやすや眠っているので、踊ることはできません。そこで、三匹は床にわらを敷きました。ほら、これならうるさくないわ。

まず最初に、ウマが踊りだします。ぱかぱかぱんぱん、ぱんぱかぱん。ところが、ひづめが小石の床とこすれあって、火花が飛んで、それがわらに燃え移り――。

ハッチンスは「ティッチ」や「ベーコンわすれちゃだめよ!」の作者として高名です。絵は、はっきりとした色づかいの厚塗り。月の光の部分と影の部分を強調し、満月の夜の感じをたくみにかもし出しています。さて、このあとウマはあわてて水をかけて火を消すのですが、おかげでふらふらにくたびれてしまいます。そこで、次にヒツジが踊りだします。毛糸玉のように、ぽよよんと跳ねていたヒツジですが、はりきりすぎて梁に引っかかってしまいます。ウマもヒツジもブタもなにかしら失敗をして、くたびれて眠ってしまうのですが、そのあともう少しお話は続きます。小学校低学年向き。


2013年4月10日水曜日

このフクロウったら! このブタったら!















「このフクロウったら! このブタったら!」(アーノルド・ローベル/作 エイドリアン・ローベル/彩色 アーサー・ビナード/訳詩 長崎出版 2013)

ピアニストのフクロウ、花の大好きなフクロウ、金持ちのフクロウ、それから尻尾の曲がっていないブタ、ロケットに乗ったブタ、ハリケーンが吹くとおでかけするブタなどなど──。さまざまなフクロウやブタが登場する絵本です。それぞれのフクロウやブタには、絵がつけられ、詩がつけられています。アーサー・ビナードさんによる訳詩は、語呂のそろった愉快なもの。ひとつ引用してみましょう。

《このフクロウったら あめだま なめる
 なめはじめると「うめぇぇぇ!」とほめる
 ほめると くちから ぽろりと おちる
 ゆかの なめかけ あめだま ふえる》

巻末の、「この本が生まれるまで」によれば、この作品は作者であるアーノルド・ローベルの死後、発見されたものだとのこと。本書は、その作品に娘のエイドリアン・ローベルが彩色をほどこしたもの。エイドリアン・ローベルは、「はみでてもいいんだよ」と、子どものころに父から教わったことを思い浮かべながら色を塗ったということです。その色づかいは柔らかで明るく、作品を盛り上げています。小学校低学年向き。