2012年12月11日火曜日

やぎとぎんのすず











「やぎとぎんのすず」(八百板洋子/文 小沢良吉/絵 鈴木出版 2006)

ある日、お百姓さんはヤギに、銀の鈴をつけてやりました。ヤギは嬉しくて、首を振りながら跳ねまわりました。草はらの先に森があり、ヤギはそのなかに入っていこうとしました。ところが、イバラが茂っていてなかには入れません。ヤギがむりやり通ろうとすると、鈴が首からはずれて落ちてしまいました。

「イバラめ、なんてことをするんだ。ぼくの鈴を返してくれ」と、ヤギはいいますが、イバラは「自分でとるがいい!」と知らんぷりします。そこで、ヤギは、イバラをひどいめにあわせてやろうと、ノコギリのところにいくのですが──。

ルーマニアの昔話をもとにした絵本です。絵は、さっとえがかれた水彩。見返しに、ヤギのスケッチがたくさんあり、目を楽しませてくれます。さて、ヤギはノコギリのもとを訪れ、イバラへの仕返しを頼むのですが、「イバラはなにも悪いことはしていない」と、ノコギリに断られてしまいます。そこで、ヤギはこんどは火のもとを訪れて、ノコギリを燃やしてくれ頼むのですが──。このあと、ヤギは、川、ウシ、お百姓のもとを訪れます。「ひつじかいとうさぎ」などと同様、典型的な積み上げ話のパターンなのですが、最後の最後でそのパターンはくずされます。いささか根性の悪いヤギが、相応の報いをうける、気持ちのいい1冊となっています。小学校低学年向き。

2012年12月8日土曜日

キュッパのはくぶつかん












「キュッパのはくぶつかん」(オーシル・カンスタ・ヨンセン/作 ひだにれいこ/訳 福音館書店 2012)

森に落ちているものを拾うのが大好きな、丸太の男の子キュッパは、きょうも森でたくさんのものを拾ってきました。家に帰ると、拾ってきたものを全部床に広げました。それから、百科事典で名前を調べ、分類し、ラベルをつけました。そして、しまう場所をさがしましたが、でも、もうどこもいっぱいで、しまう場所はありませんでした。

キュッパは、困ったことがあると、町に住んでいるおばあちゃんに相談します。電話をかけると、おばあちゃんはこういいます。「そんなにものがたくさんあるのなら、おまえも博物館をつくってみたらどうだい?」

ものをあつめるのが大好きな男の子キュッパのお話です。ノルウェーの絵本で、絵はおそらく鉛筆とCGによるもの。キュッパのあつめたものが細ごまえがかれていて、みているだけで楽しくなります。また、むつかしい言葉には解説がついています。「分類」の説明はこう。「にたものどうしを あつめて しゅるいごとに わけること」。さて、おばあちゃんのアドバイスにしたがって、キュッパは博物館を開きます。努力のかいがあり、博物館には大勢のお客がつめかけるのですが、せまい部屋で眠るのも、箱につまずいて転ぶのにもうんざりしてしまったキュッパは一週間で博物館をやめてしまい──と、お話は続きます。小学校低学年向き。

以下は余談。北欧のスーパーマーケットでみつけた食品や雑貨をあつめて一冊にした本、「スーパーマーケットマニア 北欧5カ国編」(森井ユカ/著 講談社 2011)にも、ほんの少し「キュッパのはくぶつかん」が紹介されています。こちらの訳では、「クッベくん博物館をつくる」。オスロの図書館の司書に、おすすめの絵本をたずね、何冊かみせてもらったうちの一冊がこの本だったということです。

2012年12月7日金曜日

おとうさん












「おとうさん」(シャーロット・ゾロトウ/文 ベン・シェクター/絵 みらいなな/訳 童話屋 2009)

《ぼくには おうさんはいない。
 ぼくが うまれたとき
 とうさんは もういなかった。
 かあさんが はなしてくれた とうさんは
 おとこらしく りっぱだ。
 もし いきていれば
 こんなとうさんだ。》

〈ぼく〉が、いまはいない父さんについて、思いをめぐらせた一冊です。〈ぼく〉と父さんは、毎朝一緒に家をでます。「きょうもいい日だ。しっかりやろう!」と、父さんはいいます。夕方、父さんは帰ってくると、なつかしそうに〈ぼく〉をみます──。巻末の「訳者より」には、こんな文章が記されています。

《この絵本「A Father Like that」の訳出にあたり、作者シャーロット・ゾロトウさんの意向で、少年の父親不在の理由を戦争で死んだとしました。それに伴い、文章の細部を多少変更いたしました。》

小学校低学年向き。

2012年12月6日木曜日

ばけものでら










「ばけものでら」(岩崎京子/文 田島征三/絵 教育画劇 2000)

昔、ある村に、荒れた寺がありました。あるとき、旅の坊さまがやってきて、今夜はここに泊めてもらおうと声をかけました。しかし返事はありません。通りがかった村人に訊いてみると、「ここに泊まるのはやめたほうがええ。化けもんがおってとりつかれるぞ」。すると、坊さんは、「ほう、化けもんか。会ってみたかった」といって、ずんずん寺にあがりました。

さて、掃除をしたあと、坊さんは眠りにつきます。すると、化けものたちがあらわれて、坊さまのまわりで踊りだし──。

絵を描いた田島征三さんは、「ちからたろう」などをえがいたひと。この絵本でも、豪放な絵をえがいています。このあと、坊さまは、「うるさくて寝ておれん」と、化けものと一緒に踊りだします。そして、最後に化けものたちの正体が明かされます。小学校低学年向き。

2012年12月4日火曜日

ガンピーさんのドライブ












「ガンピーさんのドライブ」(ジョン・バーニンガム/作 みつよしなつや/訳 ほるぷ出版 1978)

ガンピーさんは、自動車に乗ってドライブにでかけました。門をでて、細い小道をゆくと、「一緒にいってもいい?」と、子どもたちがいいました。ウサギや、ネコや、イヌや、ブタや、ヒツジや、ニワトリや、子ウシや、ヤギもいいました。「あたしたちもいい?」

ガンピーさんは、みんなを乗せて出発します。はじめは、お日様がきらきら輝き、エンジンはぽっぽと音をたて、なにもかもいい調子だったのですが──。

「ガンピーさんのふなあそび」の姉妹編です。ジョン・バーニンガムは、「ひみつだから!」など数々の作品をえがいたひと。さて、このあと、ガンピーさんたちは雨に降られてしまいます。おまけに、ぬかるみにタイヤをとられ、だれかが車から降りて、押さなくてはいけなくなります。すると、みんなはいいあらそいをはじめて──と、お話は続きます。お話会でよくつかわれる絵本の一冊です。小学校低学年向き。

2012年12月3日月曜日

かじかびょうぶ












「かじかびょうぶ」(川崎大治/文 太田大八/絵 童心社 2004)

昔、ある山里に、とても栄えた家がありました。ところが、その家のあるじの菊三郎は、生まれつきの怠け者で、毎日遊んで暮らしていました。そのため、あれぼどあった山や畑も売りつくし、とうとうかじか沢のある奥山も、手放すことになってしまいました。

売るまえに、菊三郎は奥山をみにでかけます。かじか沢の大きな一枚岩に寝ころんでいると、水草でつくったような、ぼろぼろの着物を着て、カエルのような顔をした奇妙なじいさまがあらわれます。「わっしゃあ、このあたり一帯に住む、かじかの棟梁でごぜえやす」と、じいさまはいいます。「のう、菊三郎さま。この、かじか沢だけは、どうか売らんどいてくださりませ──」

川崎大治さんが、伊豆の老人から聞いたという話をもとにした絵本です。文章は、民話調のタテ書き。太田大八さんは「天人女房」など、さまざまな作品をえがいています。さて、このあと、菊三郎は、家の古道具をかきあつめて売り払い、なんとかかじか沢を売らずにすませます。おかげで、家に残ったのは、なにも描いていない屏風が一枚きりになってしまいます。ところが、その晩、眠っている菊三郎の耳に、何十、何百というかじかの鳴く声が聞こえ、起きてみると、屏風にみごとなかじかの絵が描かれていて──と、お話は続きます。かじか(カエル)と人間の交流をえがいた、味わい深い一冊です。小学校中学年向き。

2012年12月1日土曜日

おはようのほん

「おはようのほん」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 ジャン・シャロー/絵 谷川俊太郎/訳 童話館出版 1997)

《よが あけます。おつきさまが しずみます。
 あけのみょうじょうが あかるく かがやきます──
 はれやかな あさのほし

 ひがしのほうから とつぜん
 ひとすじのひかりが さします。

 うみにつきだした がけは
 きらきらと こがねいろ。
 おひさまが のぼりました
 きぎのみどりを そめて。》

「おやすみなさいのほん」の姉妹編です。絵は、色鉛筆でえがかれたものでしょうか。かたちのしっかりした、彫刻的な絵柄です。このあと、オンドリが時をつくり、小鳥たちがさえずり、お日様は子馬や、リスや、ヒツジを次々に起こしていきます。最後のページの絵が大変印象的。まさに目のさめる一冊となっています。小学校低学年向き。