2012年9月22日土曜日

ティリーのねがい












「ティリーのねがい」(フェイス・ジェイクス/作 小林いづみ/訳 こぐま社)

あるところに、人形の家がありました。人形の家には木の人形の家族が住んでいました。下の台所では、料理番が食事のしたくをしながら、メイドのティリーに用事をいいつけていました。ティリーは毎朝5時に起きて、かまどをきれいにし、火をおこさなくてはいけませんでした。一日中はいたり、拭いたり、磨いたり、こすったりして、そのあいだ、料理番は小言をいったり、怒鳴ったり、命令したりしていました。

あるとき、ティリーは、料理番に一日中あれこれ指図されるのはもううんざりと思います。そして、編みものと裁縫道具をカバンに入れ、カサをもち、人形の家をあとにします──。

ページの上部に絵があり、下部に文章があるという構成です。絵は、細部がていねいにえがかれたもの。このあと、人形を家をでたティリーは、自分の家になりそうな場所をさがしにいきます。途中出会った、クマのぬいぐるみのエドワードの協力を得て、温室に置かれた箱をみつけ、そこをきれいな家につくりかえます。負けん気が強く、格言好きのティリーが、細ごましたものをつかって家をととのえていくさまがじつに楽しくえがかれています。小学校中学年向き。

2012年9月20日木曜日

ノミちゃんのすてきなペット












「ノミちゃんのすてきなペット」(ルイス・スロボドキン/作 三原泉/訳 偕成社 2011)

ノミちゃんはトラが大好きです。クマもライオンもゾウも、困った顔のハイエナも大好きです。シマウマもカンガルーも、牧場のウマもヒツジもウシもみーんな大好きです。

ある日、ノミちゃんはママに、「うちに動物がいたらいいなって思うの。お願い! 一匹飼ってもいい?」といいました。「いいわよ」とママはいいました。「でも、うちはあんまり広くないでしょ。どんな動物がいいか、よく考えてね」

「たくさんのお月さま」などで高名な、ルイス・スロボドキンによる作品です。絵は、さっとえがかれた線に、水彩で色づけしたもの。大きくとった余白が魅力的です。このあと、ノミちゃんは、クマがいい、トラがいい、ラクダがいいといいますが、もちろんママは困ります。「もっと小さくて飼いやすい動物はないかしら」と、ママがいうと、ノミちゃんは考えに考えて――。大きい動物ばかり思いつくノミちゃんですが、最後、納得のいく結末が待っています。小学校低学年向き。

2012年9月19日水曜日

せみとりめいじん












「せみとりめいじん」(かみやしん/作 奥本大三郎/監修 福音館書店 2001)

まだセミをとったことのない、てっちゃんは、セミとり名人のごんちゃんに、セミのとりかたを教えてもらいました。「セミとり網は小さくて、獲物がつるんと入らなくちゃだめなんだ」「そんなのどこで売ってるの」「なにいってるんだ。自分でつくるんだよ。ビニール袋でね」

桜の木は樹液が甘くて、セミは大好きなんだ。セミは目がいい。網は低くもって近づく。そして、あちこち振り回さない。もし途中でセミが鳴きやんだら、そのままうごくな。次に鳴きはじめるまでちょっと待て──。

タイトル通り、セミとりについてえがかれた一冊です。絵は、おそらく色鉛筆と水彩でえがかれたもの。「網は少し上のほうからセミの頭にかぶせるようにするのがこつ」「網に入って鳴き騒ぐオスは、早く静かにさせよう。仲間が警戒するから羽をつかんで落ち着かせるんだ」といった、ごんちゃんのアドバイスは非常に具体的。はたして、てっちゃんはセミをとることができるでしょうか…。巻末に載せられた、「セミを採ろう」という奥本大三郎さんの文章も味わいがあります。小学校低学年向き。

どこへいってた















「どこへいってた」(マーガレット・ワイズ・ブラウン/文 バーバラ・クーニー/絵 うちだりさこ/訳 童話館出版 1996)

《ねこ ねこ
 どこへ いってた?
 あっち きょろきょろ
 こっち きょろきょろ
 ぶらぶらしてた

 りす りす
 どこへ いってた?
 くるっくるっ
 ぐるっぐるっ
 おどってた》

マーガレット・ワイズ・ブラウンは「おやすみなさいおつきさま」の作者として、バーバラ・クーニーは「ルピナスさん」の作者として、大変高名です。絵は、白と黒と赤の3色のみですが、3色とは思えないほどの表現力をみせています。このあとはくり返し。「さかな さかな どこで およぐ?」「ことり ことり どこを とぶ?」…。最後、カラスがみごとにお話をしめくくります。小学校低学年向き。

2012年9月15日土曜日

とべ!ちいさいプロペラき









「とべ!ちいさいプロペラき」(小風さち文 山本忠敬/絵 福音館書店 2000)

ある飛行場の格納庫に、はじめて空に飛び立つ日を待つ小さなプロペラ機がいました。ある日のこと、格納庫のドアがいっぱいに開き、遠い外国からたくさんのお客さんを乗せてきた、大きなジェット機が入ってきました。「みてみろよ、あのでっかいエンジンを。おまえがテントウムシにみえちまうな」と、パイロットのおじさんがいうと、プロペラ機は恥ずかしくてたまらなくなりました。

夜、プロペラ機とジェット機は話をします。「あなたはなんて堂どうとしているんでしょう」と、プロペラ機がいうと、ジェット機はこういいます。「元気をおだし、プロペラ君。広い空では、ぼくらの大きさのことなど忘れてしまうよ」

乗りもの絵本の第一人者、山本忠敬さんによる絵本です。「のろまなローラー」はデザイン風にえがかれていましたが、本書はより写実風にえがかれています。それでも、必要なことだけをえがき、画面がぜんたいに澄んでいる作風は変わりません。このあと、ジェット機が飛んでいったあと、いよいよプロペラ機が飛び立ちます。プロペラ機が離陸する場面が、思わず手に汗を握ります。小学校低学年向き。

2012年9月13日木曜日

のろまなローラー









「のろまなローラー」(小出正吾/作 山本忠敬/絵 福音館書店 1979)

ローラーが重い車がうごかしながら、道をいったりきたりしていました。すると、後ろからトラックがやってきて、「じゃまだよ、じゃまだよ。どいたり、どいたり」といって、ローラーを追いこしていきました。

立派な自動車や、小型の自動車も、のろまなローラーを馬鹿にしながら追いこしていくのですが──。

名高い乗りもの絵本です。絵は、背景はピンクの線画。乗りものは、カラーでデザイン的にえがかれています。このあと、ローラーがでこぼこの坂道をのぼっていくと、さっき追いこしていったトラックが、パンクして停まっています。立派な自動車も、小型の自動車もパンクをしていて、ローラーは、「それはなんともお気の毒」と声をかけて通りすぎます。しばらくすると、パンクの直った自動車たちに、ローラーはまた追いこされるのですが、そのとき自動車たちがローラーにかける言葉は、もう馬鹿にした調子ではありません。自分の職務にはげむローラーが印象的な一冊です。小学校低学年向き。

2012年9月12日水曜日

しまうまのしゃっくり










「しまうまのしゃっくり」(デーヴィッド・マッキー/作 矢川澄子/訳 徳間書店 1995)

真面目で、ふざけたことのきらいなシマウマのゼブ君は、動物たちに遊びに誘われても、めったに仲間入りしませんでした。ところが、ある日、しゃっくりが止まらなくなってしまいました。ゼブ君は、「散歩でもしよう。そのうち止まるさ」と散歩にでかけました。

動物たちはゼブ君に、「息をとめて、目をつむって、あいうえおをおしまいからいうんだ」とか、「ひざのあいだに首を突っこんで、お水をコップ1杯反対側から飲むのよ」など、いろんなしゃっくりの止めかたを教えます。

「ぞうのエルマー」シリーズで有名な、デビッド・マッキーによる絵本です。絵は、厚塗りの水彩で、ところどころコラージュの手法もつかっているようです。。このあと、しゃっくりのためにシマが片寄り、パンダみたいな姿になってしまったゼブ君は、動物たちの提案をひとつひとつ実践してみることにします。やっているうちに、ゼブ君はだんだん可笑しくなってきて…とお話は続きます。しゃっくりのためにシマが片寄ってしまったという、秀逸なアイデアの一冊です。小学校低学年向き。