2013年1月28日月曜日

海浜物語

「海浜物語」(やしまたろう/作 白泉社 1983)

日本の南のはしの島に、都会の物音がまったく届かない海浜がありました。ある日、近くの町のバレエ学校の子どもたちが、その砂丘にやってきました。浜辺の静けさは、子どもたちに浦島太郎の話を思いださせました。「あれは、ここでおこったのかもね」と、ひとりがいうと、「カメだってくるしねえ」と、別の子がいいました。

八島太郎は「からすたろう」の作者。おそらく、パステルをつかってえがかれた絵は、大変深みがあります。この絵本は、枠物語になっており、このあと浦島太郎の話が語られます。そして最後、再び子どもたちにもどり、物語に納得のいかない一番小さい子が、「きれいな箱からは、なにかもっといいものがでてこなくちゃ」とつぶやいて終わります。複雑な味わいのある、品のある一冊です。小学校低学年向き。

2013年1月25日金曜日

ぼくたちとたいよう

「ぼくたちとたいよう」(アリス・E・グッディ/文 アドリエンヌ・アダムズ/絵 友田早苗/訳 文化出版局 1982)

ある夏の朝、ぼくと妹はとても早く起きました。外にでると、丘の上から太陽が昇りました。後ろをむくと、ぼくたちの長い影ができていました。「ほらっ、影をみてごらん。ぼくが太陽の光をとめている。太陽の光は、ぼくのからだを通らないんだ」。そして、ぼくは両耳の横に人差し指を立てて、ツノのはえた巨人の影をつくりました。

ぼくと妹は、1日遊んで家に帰ります。夜、お母さんが太陽についてお話をしてくれます。

絵は、繊細な味わいのパステル画。お母さんは、子どもたちに、地球は丸くて大きいボールのようなかたちをしていること、地球はいつもぐるぐる回っていること、太陽はくもりの日にも、いつもはるか彼方で輝いていること、地球がまわって反対側になると、そこは夜になることなどを話します。そこで、〈ぼく〉と妹は、懐中電灯とリンゴを太陽と地球にして、お母さんがいったことを確かめます。太陽についてえがかれた、落ち着きのある科学絵本です。小学校中学年向き。

2013年1月24日木曜日

ミシュカ











「ミシュカ」(マリー・コルモン/文 フョードル・ロジャンコフスキー/絵 みつじまちこ/訳 新教出版社 2012)

ぬいぐるみの子グマ、ミシュカは朝、目をさますと、なにもかもいやになってしまいました。ご主人のエリザベットは、おもちゃがいっぺんに25個もないと機嫌よく遊ばないのです。それに、あきるとすぐに部屋のすみに投げたりするのです。そこで、ミシュカは子ども部屋をでていくことにしました。

雪のなかを歩いていったミシュカは、途中、小鳥のキクイタダキに会ったりしながら、森のなかに入っていきます。たまたま、びんに入ったハチミツをみつけて食べ、木に登って眠っていると、2羽のガンの話が聞こえてきます。「今夜はクリスマス・イブだね」「みんな、なにかひとついいことをしなくちゃいけないのよ」

絵を描いたロジャンコフスキーは、「かわせみのマルタン」などをえがいたひと。カラーページと白黒ページが交互にくる構成で、水彩でえがかれたカラーページは臨場感があります。さて、このあと、「ぼくもなにかいいことをしなくちゃ」とミシュカが考えながら歩いていると、プレゼントを配っているトナカイに出会います。ミシュカはトナカイを手伝って、子どもたちにプレゼントを配って歩くのですが──と、お話は続きます。子グマのミシュカが自分にできることを考える、クリスマスの読物絵本です。小学校中学年向き。

2013年1月22日火曜日

ゆきのプレゼント












「ゆきのプレゼント」(ベアトリス・シェンク・ド・レーニエ/文 ライナー・チムニク/絵 矢川澄子/訳 童話屋 1986)

ダコタのちっちゃな古い田舎の家に、ちいばあさんと、ちいじいさんという、ちっちゃなお年寄りの夫婦がすんでいました。ニワトリが少しいるほか、2人はほんとに2人ぼっちでした。外は毎日雪降りで、「あんたとニワトリだけだなんて、さびしいったらありゃしない。大勢呼んでパーティーでもしたいのに」と、ちいばあさんはいいました。

ラジオでは、KMベーカリーのコマーシャルをやっています。「次のパーティーには、KMのチョコレート・ケーキをどうぞ。コツコツ・コッコッコ。これがKM配達人の合図です」。風がひどくなったかと思うと、電線が切れたらしく、ラジオも明かりも消えてしまいます。ちいばあさんがローソクに火をともし、ちいじいさんがヒヨコを家に入れるため、鳥小屋にでかけると、だれかがドアをノックして──。

文章を書いたベアトリス・シェンク・ド・レーニエは、「ともだちつれてよろしいですか」の作者。絵を描いたライナー・チムニクは、「クレーン男」などの作者として、それぞれ高名です。チムニクは、この絵本でもその簡潔な線で、独特の世界をつくりだしています。さて、ちいばあさんが玄関にでてみると、そこには男のひとがひとり立っています。雪で車が立往生してしまったという男のひととその家族を、ちいばあさんは喜んで招き入れます。そのあと、車3台ぶんのひとたちと、バスの運転手とその乗客と、ちいじいさんがはこんできたヒヨコがやってきて、うちのなかはとてもにぎやかになり──と、お話は続きます。最後は大変盛り上がる、愉快な読物絵本です。小学校中学年向き。

2013年1月21日月曜日

だんごだんごどこいった

「だんごだんごどこいった」(大江ちさと/文 大田大八/絵 トモ企画 1988)

あるところに、じいさまとばあさまがいました。あるとき、庭はきをしていたじいさまは、1本の稲の穂をみつけました。ばあさまがその稲穂を石臼でひいて粉にし、じいさまがふるいで振るい、2人は団子を3つつくりました。

さて、できた団子をじいさまがひとつ、ばあさまがひとつ食べ、最後のひとつを互いに譲りあっていたところ、団子はころころ転がって、ネズミの穴に入ってしまいます。そこで、じいさまは団子をさがしに、ネズミの穴に入っていきます──。

おそらく、日本の民話をもとにした絵本です。絵を描いた太田大八さんは、「やまなしもぎ」の作者として高名。文章は民話調で、2人が団子をつくる場面はこんな風です。

《二つにすれば ちっと大きすぎ
 四つにすれば ちっと小さすぎ
 しょうねえ、とおもって 三つにしましたと。》

さて、このあとネズミの穴に入ったじいさまは、そこで地蔵さまに出会います。団子のことをたずねると、地蔵さまは「ころげてきたども おれ くうでしもうだでや」とこたえます。そして、じいさまにあやまった地蔵さまは、ある提案をもちかけます──。「おむすびころりん」のような話かと思ったら、突然地蔵さまがでてくる愉快なお話です。小学校低学年向き。

2013年1月18日金曜日

しっぺいたろう










「しっぺいたろう」(香山美子/文 太田大八/絵 教育画劇 2000)

旅の坊さんがある村にやってきました。秋のとり入れがすんだばかりなのに、村のひとびとは皆うつむいていました。訳をたずねると、村のばあさまが、「この村では、とり入れがすむと、山の社の神様に娘をひとりとられますじゃ」といいました。

「これはきっと化け物のしわざにちがいない」と、坊さんは山の社にいき、様子をうかがいます。すると、真夜中をすぎたころ化け物たちがあらわれます。化け物たちは、「しっぺいたろうはおるまいな」と、あたりを見回してから踊りだします──。

「日本の民話えほん」シリーズの1冊です。太田大八さんは、「やまなしもぎ」などをえがいたひと。この絵本でも、物語をよくつたえる、みごとな仕事をしています。さて、このあと坊さんは、化け物たちが怖がっていた「しっぺいたろう」をさがしにでかけます。丹波の国に着き、くたびれ果てて、道の地蔵さまのわきで眠っていると、「しっぺいたろう」という声が聞こえてきます。坊さんが目を開けると、目の前に子ウシのような白い大きな犬がいます。しっぺいたろうは、ひとではなく犬だったのです。坊さんは、飼い主のじいさまと孫からしっぺいたろうを借り、村にもどって──と、お話は続きます。小学校低学年向き。

2013年1月17日木曜日

かわいいめんどり












「かわいいめんどり」(木島始/作 羽根節子/絵 福音館書店 1998)

昔、森のはずれの小さな家に、かわいいメンドリがたった1羽ですんでいました。ある日、買いものにでかけると、1匹のキツネが待ち伏せをしていました。メンドリは、キツネは飛びかかってくると、さっと木のてっぺんに飛び上がりました。

キツネは、「これから動物たちはみんな仲良しになるときまったから降りておいで」とメンドリに話しかけます。ところが、「あんたのきらいな猟師のところのイヌが1匹こちらにかけてくるわ」と木の上にいるメンドリがいうと、キツネは一目散に逃げだします──。

副題は「イギリスとタジクの民話から」。絵は、おそらくクレパスでえがかれたもの。メンドリがエプロンをしているのが可愛らしいです。さて、次の日、キツネはまたメンドリを待ち伏せします。メンドリは、また木のてっぺんに逃げるのですが、キツネは木のまわりをぐるぐるまわり、それをみていたメンドリは目がまわって、木から落ちてしまいます。キツネは大喜びでメンドリを袋に入れるのですが──と、お話は続きます。最初と最後に、メンドリの歌がでてきます。小学校低学年向き。