2010年2月19日金曜日

こがねのあしのひよこ












「こがねのあしのひよこ」(秋野ゆきこ/再話・絵 福音館書店 1998)

昔、貧しい年寄りの夫婦が一羽のメンドリを飼っていました。あるとき、メンドリが黄金(こがね)の足をしたひよこを生みました。このことは、たちまち国中に知れ渡り、王様の耳にも入りました。王様の命令で、夫婦がお城にひよこをもっていくと、王様はひよこの片足を切りとり、自分のものにしてしまいました。夫婦はたいそう悲しみましたが、ひよこは元気にすくすく育ちました。そして、ある日のこと、ひよこは自分の片足を返してもらおうと、王様のところにいくことにしました。

片足でぴょんぴょんと出発したひよこは、途中キツネやライオンやトラに出会います。みんな、ひよこの旅につきあおうとするのですが、すぐにくたびれてしまいます。そこで、ひよこは、では、つれていってあげましょうと、キツネやライオンやトラをひと呑みにして、王様のいるお城をめざします。

じつに豪快なひよこのお話です。なんでも呑みこむひよこの活躍に、胸がすくことうけあいの一冊です。小学校低学年向き。

2010年2月18日木曜日

しろいむすめマニ









「しろいむすめマニ」(稲村哲也/再話 アントニオ・ポテイロ/絵 福音館書店 1997)

昔むかし、アマゾンのジャングルに住むひとたちは、だれも作物のつくりかたを知りませんでした。そのため、木の実や動物がとれなくなると、べつの場所にうつらねばなりませんでした。あるとき、村長の息子に、ひとりの女の子が生まれました。真っ白な肌をしていたその子は、マニと名づけられ、大切に育てられました。マニはすぐ大きくなり、ふた月もすると、お母さんの仕事を手伝うようになりました。そして、織物をつくることも、土で水瓶や人形をつくることも、だれよりも上手になりました。ところが、1年たつと、マニは力が弱り、食べることもうごくこともできなくなってしまいました。そして、とうとうそのまま息を引きとってしまいました。

その後、マニは埋葬されるのですが、何度もお母さんの夢のなかにあらわれます。そして、あるとき、日照りが続き、食べものがなくなって、村人たちがべつの場所にうつろうとしたとき、一羽の鳥が飛んできて「マニがよんでる、マニがよんでる」と鳴きだします。村人たちが、マニの埋められたところにいってみると…。

本書の副題は「アマゾンのイモのはじまり」。なぜ、イモでパンをつくって食べるようになったのかという、穀物起源譚です。素朴さのただよう絵が、物語にぴったりあっています。小学校低学年向き。

2010年2月17日水曜日

びんぼうこびと












「びんぼうこびと」(内田莉莎子/再話 太田大八/画 福音館書店 1998)

ある村に、ひとりのお百姓がすんでいました。それはそれは、はたらき者で、朝から晩までせっせとはたらき続けました。それなのに、どういうわけか、お百姓は村でいちばんの貧乏人でした。ところが、ある日曜日、いつものようにはたらきにでたお百姓は、めずらしく、大きなパンとベーコンの切れっぱしをもって帰ることができました。子どもたちが喜ぶ顔をみると、お百姓はたまらなく嬉しくなり、バイオリンを弾きはじめました。お百姓は村でも評判のバイオリン弾きだったのです。

さて、お百姓のバイオリンにあわせて家族で踊っていたところ、お百姓はなにやら小さいものがうごいているのに気がつきます。じつは、それが「びんぼうこびと」。お百姓のうちがこんなに貧乏なのは、こいつらのせいだったのです。そこで、お百姓はびんぼうこびとを追い出そうと、一計を案じます。

ウクライナの民話をもとにした絵本です。お話会の定番絵本のひとつ。話は「おはなしのろうそく」にも入っています。小学校低学年向き。

2010年2月16日火曜日

あいにいくよ、ボノム












「あいにいくよ、ボノム」(ロラン・ド・ブリュノフ/作 ふしみみさを/訳 講談社 2005)

赤い山のふもとに住むエミリーは、ある日、望遠鏡で山のてっぺんにある木をみていました。すると、木の下に、頭にとげのある、なんだかおかしな生きものをみつけました。生きものは、歩いているときもありますが、たいていは木のそばでぼんやり座っています。ある晩、エミリーはベッドに腰をかけて考えました。「あの子はどうして山のてっぺんにひとりで住んでいるのかしら?」。翌朝、エミリーは山にのぼっていきました。

山のてっぺんで、エミリーは生きものと会い、ボノムと名前をつけます。エミリーとボノムは仲良くなりますが、いっぽうエミリーが帰ってこないのを心配したお父さんとお母さんが、このことを市長に相談し、ボノムは警官につかまってしまいます。

絵は白黒で、ところどころに赤がつかわれています。躍動感のある線でえがかれた、洒脱な絵が魅力的です。ボノムはなんだかわからない生きものですが、ちょっと男の子っぽく(ボノムとはフランス語で男の子という意味だそうです)、じつに愛らしいです。巻末の作品紹介によれば、作者は「ぞうのババール」の作者、ジャン・ド・ブリュノフの長男だそうです。小学校低学年向き。

ところで、この絵本は「ボノム」(すえまつひみこ/訳 福音館書店 1994)を改題、改訳したものです。手にとると、「あいにいくよ…」のほうが、表紙の紙が厚い感じがします。エミリーがベッドで考えるところは、「ボノム」だとこうなります。「どうしてあの子はあの山にひとりぽっちでいるのかしら?」

こねこのミトン











「こねこのミトン」(クレア・ターレー・ニューベリー/作 劉優貴子/訳 講談社 2000)

リチャードは猫が大好きな男の子です。道で猫に出会うと、かならず挨拶をします。まだ小さいリチャードは、猫を飼うことはできなかったのですが、ある日、お母さんと一緒に市場にいくと、とても可愛らしい猫が売られていました。そこで、リチャードは、ぼくもうすぐ6歳だとお願いしました。お母さんもとうとう許してくれて、リチャードは子猫を飼うことができるようになりました。そして、子猫にミトンという名前をつけました。

さて、リチャードのうちで暮らすことになったミトンですが、ひょんなことから家からいなくなってしまいます。そこで、お父さんが新聞に広告をだすと、いろんなひとがいろんな猫を(犬も!)みせにきます。はたして、ミトンはぶじにリチャードのもとにもどってくるのでしょうか?

水彩でえがかれた子猫がたいへん愛らしい絵本です。作者のニューベリーはこの絵本で、一躍「ねこの画家」として有名になったそう。「サリーとライオン」(光村教育図書 2000)の解説によれば、住所がなくても「ねこの画家」と書いてあれば、手紙が届くほどだったということです。

2010年2月12日金曜日

スヴェンさんの橋











「スヴェンさんの橋」(アニタ・ローベル/文と絵 松井るり子/訳 セーラー出版 1993)

川のほとりの小さな村に住むスヴェンさんは、はね橋の番人をしていました。スヴェンさんは、毎日ていねいに橋の手入れをし、船がくると、はね橋を開いて船を通してやりました。ところが、ある日、王様の乗った大きな船がやってきました。スヴェンさんは大急ぎではね橋を開きましたが、王さまは待ちきれません。「うて!」と王様が叫んだかと思うと、大砲が火を吹き、橋はこなごなになってしまいました。

このあと、スヴェンさんは渡し船で川をいききするようになるのですが、でも、やっぱり橋があったほうが便利です。すると、ある夜ふけに王様の馬車がやってきて、川に転げ落ちてしまいます。最後には、だれもが納得できる素敵なラストが待っています。本書は、アニタ・ロベールの最初の絵本だということです。小学校低学年向き。

2010年2月10日水曜日

きみとぼくのネコのほん












「きみとぼくのネコのほん」(トミー・デ・パオラ/作 もりしたみねこ/訳 ほるぷ出版 1990)

パトリックは立て札をみて、トゥインクルおばあちゃんの家に子ネコをもらいにいきました。トゥインクルおばあちゃんのうちには、ネコがものすごくたくさんいます。おばあちゃんは、パトリックに、ネコについていろんな説明をしてくれました。

パトリックとトゥインクルおばあちゃんの会話で話がすすむ絵本です。おばあちゃんはじつに物知り。シャムネコは宮殿を守るために訓練されていたとか、アイリッシュ海のマン島がふるさとの、頭もお尻もころころしたマンクスは、前足が短く、ときどきピョンピョンとぶので、昔のひとはウサギの仲間だと思ったとか。 それから、もちろんネコの飼いかたについても。トイレのしつけについての、トゥインクルおばあちゃんの説明はこう。

《ネコをしつけるのは、とてもかんたんよ。子ネコをトイレに入れて、足をこすりつけるの。2~3回やれば、ネコはぜったいにまちがえないわ。トイレが、ちゃんと、きれいになっていればね》

ネコを飼ったことがあるひとなら、大いにうなずくことでしょう。現在品切れ。小学校中学年向き。