2010年2月9日火曜日

へんなどうつぶ










「へんなどうつぶ」(ワンダ・ガアグ/作 わたなべしげお/訳 岩波書店 1978)

ある山奥に、ボボじいさんというおじいさんがいました。ボボじいさんは、山の洞穴の入り口においしい食べ物をたくさんならべ、リスや小鳥やウサギやネズミに食べさせていました。ところが、よく晴れたある日、これまでみたこともないような、変な動物が、ボボじいさんのところにやってきました。「あんたは、なんちゅうどうぶつだい?」とボボじいさんが訪ねると、「ぼか、どうぶつじゃない、ぼかどうつぶ!」と、変な動物はいいました。しかも、変などうつぶは、おじいさんのだす食べ物がみんな気に入りません。どうつぶは、なんと人形を食べるのです──。

変などうつぶが、あちこちで子どもたちの人形を食べ歩いていると思うと、ボボじいさんはたまらなくなります。そこで、変などうつぶに人形を食べることを忘れさせるために、ボボじいさんはある名案を思いつきます。

心やさしいボボじいさんと変などうつぶのお話。前後の脈絡があるようなないような、なんとも不思議な味わいの絵本です。現在品切れ。小学校低学年向き。

2010年2月8日月曜日

大あらし










「大あらし」(ディヴィッド・ウィーズナー/作 江国香織/訳 ブックローン社 1995)

大あらしがやってきました。デイヴィッドとジョージは、そとにいた猫のハンニバルを家に入れてやりました。風はどんどん強くなり、とうとう停電になりました。その夜は、暖炉のそばで食事をしました。翌朝、あらしは去り、大きな木がとなりの庭にまたがるようにして倒れていました。

デイヴィッドとジョージは倒れた木で、ジャングルにいったり、宇宙にいったりと、さまざまなごっこ遊びに興じます。2人はすっかり倒れた木が気に入ったのですが、突然終わりがやってきます。

ウィーズナーの絵は非常にリアルで、映画の一場面のようです。2人の遊びにつきあうようにして、猫のハンニバルがいつも画面(といいたくなる)に入っているのがおかしいです。最後のページは洒落が効いています。読物絵本。小学校中学年向き。

2010年2月5日金曜日

コブタカタブラ








「コブタカタブラ」(スーザン・メドー/作 ひがしはるみ/訳 フレーベル館 1996)

きのう、コブタちゃんがうちに帰ると、家中のみんなが心配して玄関で待っていました。というのも、その日、コブタちゃんは学校にいかなかったからです。コブタちゃんはみんなに、学校にいかなかったわけを話はじめました。学校いきじゃないスクールバスに乗ってしまい、降りたのはどこだかわからないところ。近道しようと、森の小道を通ったところ、オオカミにさらわれて──。

という、どこまで本当なのかわからない、コブタちゃんのお話。オオカミにつかまったコブタちゃんは、スープにされそうになるのですが、くり返し機転を効かせて、ぶじピンチを切り抜けます。絵は漫画風。コブタちゃんの話と描かれた絵がすこしちがっているところが、おかしみを誘います。間抜けなオオカミがでてくる話にふさわしい、ユーモラスな絵本です。小学校低学年向き。

2010年2月4日木曜日

つつみがみっつ









「つつみがみっつ」(土屋耕一/作 たざわしげる/絵 福音館書店 1975)

《まえからよんでもうしろからよんでもおなじぶんのえほん》と、この本の扉に記されています。つまり、この本は回文絵本。ママとパパとおでかけした、たんたくんが、でかけた先でさまざまな回文に出会います。

猫をみかけると、「かるいきびんなねこなんびきいるか」。
パン屋には売り切れの札が、「しなもんぱんもれもんぱんもなし」。
和菓子屋をみつけたたんたくんは、「ようかんかうよ」。
などなど。ささやかながら、ちゃんとストーリーがあるところに感心します。

発刊は1975年。絵はいささか古びていますが、読んで楽しい一冊です。小学校低学年向き。

2010年2月3日水曜日

はるにれ












「はるにれ」(姉崎一馬/写真 福音館書店 1981)

平原に一本すっくと立つ、大きなはるにれを主人公にした写真絵本です。秋から冬になり、雪が降って、積もって、朝がきて、昼がきて、夜がきて、春になって、葉をいっぱいに茂らせる様子がえがかれます。文章はありませんが、読んでいると、はるにれの気持ちがつたわってくるような気がします。小学校低学年向き。

以下は余談。「池澤夏樹の世界文学リミックス」(池澤夏樹/著 河出書房新社 2011)に、この写真絵本のことが紹介されています。それによると、姉崎一馬さんは、はるにれのところに4年間通ったのだそう。そして、このはるにれは、北海道豊頃町の、十勝川の川原に生えているということです。

2010年2月2日火曜日

あなたのいえわたしのいえ












「あなたのいえわたしのいえ」(加古里子/作 福音館書店 1991)

もし、家がないとしたら、ひとは暮らすのにとても困ります。雨が降ったら濡れますし、天気の良い日は太陽に照りつけられます。そこで、屋根がつけられました。おかげで、雨の日も晴れの日も暮らしよくなりました。けれども、風の日は困ります。あなたならどうしますか?

家というものがどんな風にできたのか、それを説いた絵本です。かこさとしさんの科学絵本はみなそうですが、考えの道すじがとてもわかりやすく書かれています。いままで気にとめていなかったことが、くっきり立ち上がってくるように感じられることでしょう。小学校低学年向き。

2010年2月1日月曜日

運命の王子










「運命の王子」(リーセ・マニケ/文絵 大塚勇三/訳 岩波書店 1984)

昔、エジプトに息子がいない王様がいました。息子をくださるように神様にお願いすると、願いがかない、男の子が生まれました。すると、7人のハトホル女神たちが、その子の運命をさだめるためにやってきて、こういいました「この子は、ワニかヘビか犬に殺されることになっている」。

さて、王様は砂漠のへりに石の家をつくらせ、そこで男の子を育てました。ある日、道をあるいている男のあとに、一匹の犬がついていくのを見た王子は、自分も犬がほしくなりました。そこで、王様の許しを得て、一匹の犬をもらいました。

その後、旅にでた王子はナハリン国にたどり着き、その国の王女と結婚します。とろこが、ついに運命が王子に追いつく日がやってきます。

本書はエジプトのパピルスに記されていた物語だそうです。結末は散逸してしまっていたので、作者が想像をして、つけ加えています。絵は、さまざまな浮き彫りから引用したもので成り立っており、巻末には詳しい解説がついています。当時のエジプトの雰囲気がよくでている、美しい読物絵本です。小学校中学年向き。